2021.9.20 (月・祝) 「弦楽はかくも語らう!」愛知室内オーケストラ ニールセン/若き芸術家の棺の傍らで 他
加藤昌則プロデュース with 川本嘉子 弦楽はかくも語らう! ~加藤昌則が誘う、驚愕の弦楽オーケストラの多彩な世界~
[日時]2021年9月20日 (月・祝) 開演14:00 (開場13:15)
[会場]三井住友海上しらかわホール
[指揮・ナビゲーター]加藤昌則
[ヴィオラ]川本嘉子(当団弦楽器アドバイザー)
[ゲストコンサートマスター]成田達輝 >
[プログラム]
・ニールセン:若い芸術家の棺の傍らで
・ライネッケ:弦楽のためのセレナーデ
・ヒンデミット:ヴィオラと弦楽オーケストラのための葬送音楽
・加藤昌則:サウス・ヒルズ・パッセンジャーズ
[入場料]全指定席 S席 3,500円 A席 3,000円 B席 2,000円
U25席(25歳以下)1,000円
8月の名フィルに対してあの感想を出した自分に対して色々考えこんでしまいコンサート行くのも億劫になってたけど。ニールセンの弦合奏をやるということで行くことにした。友人にも思った通り素直に書けばいいと言ってもらっているので、それを免罪符にして気楽にいきますか。最近ニールセンにはまっていて、この「若き芸術家の棺の傍らで」は特にお気に入り。友人へ、私が死んだ時はショパンの葬送行進曲じゃなくてこっちでお願いします。
ゲストコンマスの成田氏は、以前名フィルにソリストで来た時行こうと思っていたもののなんとなくやめてしまい後悔していたので今度こそリベンジ。
2018.5.11 しらかわシリーズ、プロコフィエフ1番
https://www.nagoya-phil.or.jp/2017/1026095654.html
アンコールのイザイも聴きたかった( ;∀;)
https://www.nagoya-phil.or.jp/news/news_2018_05_14_100456
At the Bier of a Young Artist for string orchestra
楽譜
http://www5.kb.dk/export/sites/kb_dk/da/nb/dcm/cnu/pdf/CNU_II_08_orchestral_works_2.pdf
(デンマーク王立図書館)
演奏前(後だっけ?)に指揮の加藤氏から曲紹介があり、最後のほうになってからコントラバスが入ってくることで演奏効果が大きい等聞かせてくれた。私はこの曲は短いけれどもニールセンらしさ(の一部)をかなり感じる曲だと思っており、演奏の感想はそっちのけでそこをざっくり書き留めておきたい。
まず、わかりやすく覚えやすい出だしを持った大きな塊が2つあるということ。この曲の場合、最初の4小節で掲示されるテーマ。1度目の登場時は14節目まで展開し、中間部を経て35小節目で再登場する。他の曲例を示す。
・ヴァイオリン協奏曲
07:10からと、中間部とカデンツァを経て16:29で2度目の登場。19:50からはこのテーマを用いて1楽章が締められる。
追記:この19:50から、サンサーンスのヴァイオリン協奏曲3番の3楽章コラール前に似てるなと思った。似てるというか、引用がみられるってパンフレットに書けるレベルでゎ?
ところで、2楽章の前奏部分である20:24からのオーボエソロってなんか、若き芸術家の棺の傍らでに似てるな。若き~の前身である弦楽四重奏版が作曲されたのが1910年で、1912年までに弦楽合奏版への編曲。そしてヴァイオリン協奏曲は1911年作曲ということでふーんという感じ。なにかモチーフはあったのかなぁ。
・交響曲第五番
18:40からの2楽章冒頭アレグロと2楽章終盤である30:52からのアレグロ。他にもあるけどわかりやすくて規模が大きいのだとこれ位かな。
話かわるけど個人的にバーンスタインの曲はニールセンの曲を100倍わかりやすくした(大衆寄りにした。曲によるけど。)傾向が見られると思ってて、この前名フィルで聞いたキャンディード序曲も2回繰り返し。でもあれはちょっと普通というか、中間部の中間部感が薄いのでやっぱ違うなとか。ニールセンも小品ではそういう中間部がない1番と2番みたいな曲もあるんすよ。でもそれってニールセンの特徴ってほどでも無いので書かないけど。ニールセンを再評価したバーンスタイン、バーンスタインの曲中に、これはニールセンから影響受けてるでしょってのをいくつかネタを収集中なのでそのうち披露したい。
交響曲第五番(1922)と同時期に作曲されたヴァイオリンソロ曲の「Prelude,
Theme, and Variations for Solo Violin, Op.
48」。これも主題が、前奏後と色々変奏を挟んで曲の最後の締めに再登場する。王立図書館のこの曲の解説に、娘婿に宛てた手紙の中でヴァイオリン協奏曲について「1楽章は元気があってよいけど、元気(派手さ?)があれば音楽的かというとそうではないと思う。とはいえ曲の最後はロンドで終わるのではなく別の楽章を作るべきだったか。」(派手な終わり方に改稿することを仄めかす発言?)とか書いてあって興味深い。細かいニュアンスがわからないので読み間違いだったらすまん。http://www5.kb.dk/export/sites/kb_dk/da/nb/dcm/cnu/pdf/CNU_II_10_chamber_music_1.pdf 12-13頁
ニールセンの楽曲は無秩序の中の秩序とか言われてるらしい。こういうドカーンとした明晰なメロディーが、なんとなく落ち着かない無秩序っぽい中間部を挟んで再び登場することで秩序立ての一助になってるのではないかと思う。秩序というより、理解への助け、配慮かもしれないともふと思った…。
2つ目のニールセンの特徴は、解決までに1回焦らしがあるということ。
3:00から解決しそうに見せかけてせず、3:08から解決する。(偽終止ではなくあくまで旋律の話ね。いや、ニールセンの和声は旋律的って、こういうこと?)他の参考楽曲を忘れてしまい、今は探しても見つけられないので、見つけられる気分が復活したら追記する。
Youtubeにあるこの曲、テンポ速めなら上のリンク、遅めならこれが今のところの推し。
そもそも録音数が少なくて録音も古かったりなんかシャビシャビしすぎてたりちょうどいいのが見つからない。
演奏の感想。テンポは遅くはない。もったいぶりすぎない感じで好み。コントラバス登場までに音量をすでに結構張ってて、Cb登場がちょっとわかりにくかった。だからというわけじゃないけど、中間部とか抑えるところはもっと抑えてもよかったような?とはいえそういう弾き方でもありっすね。ニールセンの和声って緊張感あるし、。それに強奏時はホールの響きもあって良いっすね。このホールならではの演奏といえなくもないような。大きいホールだった場合、ただ単に強弱がない風に聞こえてしまう場合もあると思う。反響がわかりやすく変化したり、生音に被ってくるとごまかしがきくというか、寧ろそれを利用するというか。よくわからんけど。椅子と2階席の視界以外は良いんだよなしらかわホール。
カール・ライネッケ 弦楽セレナーデ
演奏前の解説→ ライネッケはブラームスと同時期の作曲家だが名前と作品が知られているとは言えない。作曲家が売れない原因として挙げられるのはその当時の時代にそぐわないのと、曲自体がいまいちな場合。ライネッケの曲は新しさがなく新しいものを求める聴衆にこたえられなかった(時代にそぐわなかった)のと、曲に音を足しすぎてしまった。
解説の通り、音が多くてごちゃごちゃしてていまいちだった。緊張感も一定だし、そういう意味ではポップスっぽい風に聞こえて今風な気がしなくもないけどやはり保守的ということらしい。もういいかな。。。
ヒンデミットの葬送
ヒンデミットは作曲スピードが速く、これもイギリスのジョージ5世の訃報を聞いてからBBCのスタジオで一晩で書き上げたらしい。
ビオラの使用音域が全体的に高めで、音が常に張って聞こえる。葬送曲だけどそのせいか暗さをあまり感じない。若きーは速めが好きだけど、これは遅ーくどっしり暗く演奏したほうが好みかもしれない。でも多分これは聞き終えた後の虚無感のほうが大事なんだろう。ちょっとよくわからなかった。
サウス・ヒルズ・パッセンジャーズ
ゲストコンマスの成田氏は高校生の時の学生オケ以来のコンマスということで、最初はぎこちなかったけど、今では立派に調弦できるようになった、といういじりあり。この曲は学生のために書かれたもので最初は技術レベルをそれに合わせていたが次第にあまりそれに注力しなくなったということらしい。
冒頭2音のピッツィカートがあるけどあれはちょっとダサくないか。いくら学生向けとはいえそう思ってしまった。3音にするか、潔く1音で良かったと思う。なにか意味があったのかもしれないけど。
終楽章は着地感なく上に飛んでいく感じで、あまり聞きなれない感じがしたけどおもしろかった。コントラバスのハマってる感じが良い(?)。
アンコール:チャイコフスキー弦楽セレナーデ第2楽章
【本日のアンコール情報】
— 愛知室内オーケストラ (@ac_orchestra) September 20, 2021
◆ #加藤昌則 プロデュースwith #川本嘉子 「弦楽はかくも語らう! 」◆
ご来場誠にありがとうございました。
□アンコール曲□
♪ チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」より≪ワルツ≫ pic.twitter.com/TVwQsIFn2l
曲自体にあーだこーだ言ってて、なかなかアンサンブルや演奏を評価するのが難しい。演奏会に対しての感想で詩的な表現とかも私には難しい。どちらかというと作曲技法自体に興味があるようだ。小説読んでても普通の人が想像するであろう登場人物の心情とかそういう書かれていない感情を想像する能力が自分には欠如していると最近なんとなく気が付いた。知らんけど。とりあえずニールセンの楽曲もっと知りたいので、現在上野学園大学教授の緒方恵さんの博士論文「カール・ニールセンの音楽
:
ヴァイオリン作品を通しての分析と解釈」読みたいな。どうしてネットで公開されてないんですか。どうして。。
(上野学園大は定員割れが続いていて、財政悪化から学部は募集停止しているらしい。大変ですな…。追記:思ったより大変そうな感じ…
関連ツイート
【当日券情報】
— 愛知室内オーケストラ (@ac_orchestra) September 18, 2021
◆ #加藤昌則 プロデュースwith #川本嘉子 「弦楽はかくも語らう! 」◆
9月20日(月祝)14:00開演(13:15開場)
三井住友海上しらかわホール
[全席指定]
◎:S席(1階)3,500円
◎:A席(2階正面)3,000円
◎:B席(2階サイドバルコニー)2,000円
◎:U25席(25歳以下)1,000円 pic.twitter.com/saClkspGj3
ACOです!
— 愛知室内オーケストラ (@ac_orchestra) September 19, 2021
いよいよ明日に迫りました弦楽公演。
公演の目玉でもございますプロデューサー加藤昌則さんによる弦楽作品「サウス・ヒルズ・パッセンジャーズ」
その魅力を詰めた動画です。是非ご覧下さい。
明日のご来場お待ち申し上げております。 pic.twitter.com/mgwKrdu20O
各楽団関連ツイート多いからまとめにしてそのリンク張る形式にしよっかな。検討中。それからブラウザによって埋め込みツイートの画像と動画がうまく表示されていない。javaとか触ってないけどなぁ。ヒンデミットで素晴らしいソロをお聴かせくださった後…
— 愛知室内オーケストラ (@ac_orchestra) September 20, 2021
お客様や楽員の熱い拍手に、再三のカーテンコールにお応えくださいました✨@yoshikoviola pic.twitter.com/iwY9PuWaoO
以上
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