2021.8.18 (水) 14:00 愛知県芸術劇場コンサートホール 
▊ ボロディン:交響詩『中央アジアの草原にて』 
▊ グラズノフ:サクソフォン協奏曲変ホ長調 作品109 
▊ チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36 
坂入健司郎(指揮)
堀江裕介(サクソフォン)


シリーズ最終回、いま最も注目を集めている若手指揮者の坂入健司郎が、ほぼ同じ時代を生きたボロディン、グラズノフ、チャイコフスキーのロシア・プログラムで名フィル・デビューを果たします。シリーズ初回の『展覧会の絵』や「ボレロ」におけるサクソフォーン演奏など、幾度も客演奏者として名フィルと共演している堀江裕介の独奏にも乞うご期待。
 https://www.nagoya-phil.or.jp/2021/0303120844.html 

 

中央アジアの草原にて

 
 この曲を名フィルで聴くのは2016年以来の2度目。
https://www.nagoya-phil.or.jp/2015/1209195738.html 
この時は結構良かったように記憶しているけど、思い出補正かも。2016年前後のパンフレット捨ててはいないのでどこかにあるはずなんだけど少し探しただけでは見つからないんだよな。困った。この2016年7月9日の公演時、いそいそと当日券に並んでるときによいことがありましてな。あのお孫さん連れの紳士、お元気かしら…。

  演奏は最悪だった。冒頭から、合わない&かすれるフラジオレット、音程の合わない木管弱奏、アタックがボワボワした低音ホルン、空気の読めない無遠慮なフルート、名フィルの悪いところが一斉に集結したって感じだった。まあ各々の楽器に苦手なところではあるんだろうけど、これは無い。どうしちゃったの…。その後も揃わないしガタガタだし。やっと揃って旋律聴けると思ったら曲は終わり。帰りたい。 

 

サックス協奏曲

 
 気を取り直してサックス協奏曲。堀江氏はいつも名フィルに客演に来ているお方。直近では5月のボレロ。豊かな音色、十分な音量、自由自在な表現と焦りを感じさせない技巧的なカデンツァが良かった。 
  個人的に気になったのはフレージング。普通は音高に合わせて高い音が一番ダイナミクスの頂点になると思うのだけれど、今回は最高音を控えめにしてブレス、そのあとフォルテからデクレッシェンドというのがあった。ちょっと意外だったのと、それが何とも言えないサックスらしさを感じた。現代曲を多く吹くサックスぽさというのか。それもおもしろかった。

  弦の配置はかなり気になった。[下手 1stVn, Cb, Vc, 指揮者 Va, 2ndVn 上手]という配置だった。これは対向配置とか両翼配置と言われているらしい。昔の作曲者はこれを前提に作曲していると提言している方もいる。

 でもこの配置、この日聞いた限りでは反対。主にバイオリンのステレオ効果で考えてもいいけど、協奏曲の場合は弦がまとわりついてソロの邪魔をしていたし、他でも弦がどうしてもぼやけて聞こえる。勿論強奏時はそれなりにステレオが広がったような、ショートディレイがかかったように聞こえて一定の効果があるのは認める。でもそれ以外はずっとぼやけているし、まとまり、アタックの揃っている感全てが台無し。1stと2ndがユニゾンの時は、他の楽器を覆ってしまって邪魔してるし、掛け合いの時は音が広がりすぎて忙しくて聞くのがつらい。(同様にほかの楽器が聞きづらくなる。) (左右の掛け合い前提に書かれていても、他が聞きにくいデメリットが多すぎる。今まで通りの1stと2ndが前後でも十分楽しめたし丁度よい聞きやすさ。慣れ?)  
 私が片翼配置生まれ片翼配置育ちなのでソリッドで一体感のあるバイオリンに慣れすぎてるというのもあるかもね。もし両翼育ちなら、初めて片翼を聞いたときにディレイとパン振り忘れてるよ?と思う可能性もある。

  それから、チューバとコントラバスが離れてるのも気になる。マーラーなんかはわりとここら辺のユニゾンあるイメージだけど、音がとっ散らかって正直聞きにくいと思う。今回はそんなに多くはなかったので多少聞きにくいなと思う程度だった。ともかく、もし低音の偏りがきになるならCbとTuを分けるのではなくてCbを一列の配置にすべき。(現代のチューバは大音量で、今でさえオケから一人浮いてる時もあるのに、さらに分離したらオフィクレイドに逆戻りするに違いない、いや、6/4サイズは太すぎて馴染みが悪い。チンバッソでも良いよ(適当)。ここら辺は楽器の進歩も考慮する必要がありそう。)  (時々動画でチューバの位置が真ん中、トロンボーンとトランペットの間とか、トロンボーンとティンパニの間とかにあるのを見る。あれは是非生演奏を聴いてみたい。) 

  原典至上主義者がいるのもわかるけど、調律も昔のにして、楽器も古楽器にして、弦の編成も合わせて、ホールも当時のものをつかって検証しないと実際のところわからないんじゃないかなーと思った。

 そういえば全然関係ないけど、吹奏楽強豪校が左右対称配置をやっているのを見たことがある。そこまでしなくても、パートごとでまとまってれば十分左右振り分けの移動を楽しめると思う。聞きやすさってのは、音量、音高の左右の偏りだけでは語れないのでは。私もまだまだ勉強中なので今後両翼配置派になる可能性ももちろんある。 

  追記:両翼配置だとバイオリンの音量が単純に大きくなっちゃって、聞きなれた音量バランスが崩れてるってのがある。てか、ビオラチェロ聞こえない。バイオリンの人数を減らしたり一工夫あれば良いかもしれない。

  追記2:ステレオの録音だと、特にイヤホンやヘッドホンで聞いた場合音の偏り、高音が左ばかり、低音が右ばかりというのはきになるかもしれない。耳の負担にもなりそうだし。でも実際はパンは左右100に振られているわけじゃなくて(最前列ならそうかもだけど)、1階席のど真ん中SS席くらいならせいぜい左右50くらいなんじゃないかなぁと思う。録音だけで判断するのは早いのじゃないかしら。逆に録音ならそういうギミックがあっても勿論おもしろいよね。知らんけど。


 

チャイコフスキー4番

 
 止まるところは止まって、きびきびした演奏だった。終楽章も盛り上がってたし良かったんじゃないかしら。彼の指揮に会っている曲って感じだった。でもアッチェレランドやリタルダンドのオケの制動力はひどいもん。両翼配置については上述の通り。
  いつも控えめな名フィルトロンボーンセクション、この日は元気があって良かった。2ndは都響からの客演だけど何か関係あるのかしら。ただ単に指揮者の指示か、そういう吹いてもよい曲だからってだけかも。

  アンコール  
チャイコフスキー・スペインの踊り

パーカッションの人と喧嘩でもした…?やっぱりテンポの変化時の制動力が気になる。これは…。 

ツイートをまとめてくれた人がいた。

私は奏者側がどう思ったのか色々感想聞きたい派。

 以上