2022年9月17日土曜日 三井住友海上しらかわホール
13:30当日券販売 14:00開場 15:00開演
中部フィルハーモニー交響楽団 第82回定期演奏会
NAGOYAシリーズ3 秋山のベートーヴェン・ツィクルス5
指揮 秋山和慶
客演コンサートマスター 山口裕之 
客演アシスタントコンサートマスター 平光真彌
◆ベートーヴェン:劇付随音楽「献堂式」序曲
◆ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 作品36
休憩15分
◆ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92

感想

素晴らしかった。秋山氏のやりたかったことがオケメンバーの献身で体現されていたに違いない。
前回(第80回定期)惜しいなと思っていた木菅の入りやハーモニーが凄く改善されていて驚いた。オケが上手くなっているとそれだけで行った甲斐があるというもの。
2番は全体的に冗長に感じなくもないけどこれは自分の予習不足だと思った。第2楽章のメロディーは有名なやつで筆者も好き。

きっちりかっちりまとめる秋山氏は7番のような熱狂的なフィナーレのある曲をどのように演奏するのだろうかと楽しみにしていた。
全楽章通して氏らしく身の詰まった堂々たる演奏。弦がしっかり鳴ってしらかわホールでも飽和しないのは前回と共通して良い点。第4楽章はアタッカで,そうきましたかという感じ。それにより適度な緊張感で第4楽章を迎えることができた。特別速度を上げも落としもせずコーダでも一体感を保ったまま堅実に駆け抜けた。コーダで特別酔いしれるわけではなくとも全体を通して充実した満足感を得ることができた。
筆者の好みで贅沢を言えば第4楽章のホルンのパワーがもう少し欲しいと思った。第4楽章のホルン→ヴァイオリンの繰り返し旋律が対等だと,或いは対旋律がしっかり聞こえてくるとさらに良かったけど。しかし筆者が上手側に座っていたことにもよるかもしれない。

秋山氏の厳しさは非常に頼もしく安心感がある。そして何よりアタックが縦に揃っているだけでなくリリースもそろっているのが素晴らしい。秋山氏と山口氏のコンビの集中力にも引き込まれる。

そしてこれが一番言いたいのだが,彼の音楽は他の指揮者にはあまり感じないグルーブ感があってそれが非常に良い。このノリは何によって生み出されているのかもっと考えたい。あの複雑な右手の振りにどんな秘密が隠されているのか笑。拍の捉え方か…。
現時点では上記のリリース,更に言うと残響のコントロールが関係していると思っている。なぜならポピュラー音楽でのミキシングではリリースがグルーブに与える影響が大きいことが議論されがちだから。もっとちゃんとグルーブについて勉強しなければ。

12月11日の小牧第九のチケットもmust buy。まーじでイーサリアムのチャートを眺めている場合ではない。年末に向けて第九の予習をしなければ。今年はどんな風に聞こうかな。

中部フィルにしては客が少なかった。当日券の販売座席数に対しても圧倒的に人が少ない。台風で来れなくなったり迷っていた別の公演に行った人が多いのだろうか。中部フィルはセントラル愛知やACOに比べて客入りが良い印象。客の年齢層は高めで,古くからの常連客が多そうな感じ。
以上