愛知室内オーケストラ 第39回定期演奏会 N響名誉コンサートマスター魅せる!円熟の妙技
2022年9月9日(金)三井住友海上しらかわホール 開場18:00 開演18:45
指揮 山下一史
ヴァイオリン 堀正文

Mozart : Violinkonzert Nr. 5 A-Dur (KV 219) (1775)

ソロの堀正文氏はビリっと堂々とした感じ。甘さがない,というわけでもないんだけど隙は無さそう。数箇所これはすごい頭良いデュナーミクだなと思った部分があったが詳細な箇所を忘れてしまった。残念!

(m.69の4拍目を弱くした所だった気がしてきた。ここはガラミアン編の楽譜には何も強弱記号は書いていないが,pにした方が次の16分の(わざわざ音を細かくした)効果が増す気がする。そして流れがスムーズになる。気がする。)
(記憶違いでなければ,他にも例えば)m.54の1拍目のA音みたいな次にpで新たな動機が始まる前の音をあまり音量を落とさずに弾いていたのも印象的だった。ここは効果のほどは良くわからない。

そんなことより弓の持ち方といい,初速といい,手首の角度といい,かなりギトリスっぽいなと思ったことを覚えている。
カデンツァはヨアヒム。第一楽章Solo冒頭のAdagioとAllegro apertoの間は小カデンツを挟まない標準的な(?)もの。

全編さすがに,特に発音で全くひび割れていないとはいえないものの演奏はとても筋が通っていて良かった。それから音量は全然出さないんだな~と思った。シュッとしたフォルテ。

アンコールの弾き振りのほうがオケもソロも明らかに生き生きしていていいよ笑。勿論,楽しめる曲だというのもあるだろうけど。振り返ってみればモーツァルト5番はお硬めな印象で統一された演奏だったかもね。それがやりたかったことなのかも。

コンミスは団員の大澤氏。昨年12月のストラヴィンスキー没後50年記念コンサートPart2で兵士の物語の1stVnを弾いていらしたのを見て筆者もイイジャーンと思っていたので抜擢されて嬉しい。

どうでもいいけどドイツ語版wikipediaにモーツァルトのVn協って個別ページが存在しないんだな。

Schubert : Die Große Sinfonie in C-Dur (D944) (1825/26)

うーん筆者はセントラル愛知&マーク・マスト氏のドライブ感かつ充実した田園風景感の方が好きだったかな。この時のセントラル愛知は比較的調子がよさげだったし。それから今回は座った席が悪かったかも。

Trbの音が直撃する場所にいたので音程とか馴染みの良し悪しとかがかなり気になってしまった。第4楽章だと周りも強奏なのできちんと乗ってるけど,第1楽章では音程の悪さとTrbだけ音量が浮いていて主張のある感じが気になった。音の方向性はTHE大阪フィルという感じ…。今回のTrb3人は関西の方々。音程は2ndか…?

それに,木管とTrpは今までのACOの積み重ねがあるわけで,オッテンザマー氏やデルヴォー氏を経てとてもまとまりが出て上手になってきてると思っていた。しかしTrbは客演にならざるを得ず,そうすると馴染みが悪いのも仕方なくなってしまう。この前Trb奏者のオーディションをしていたがどうなったのだろう。(9/7が2次審査だったようだ。)凄腕でACOによく馴染む奏者が入ってきてくれたらどんなに良いだろうか。

個人的には昨年までよく客演に来ていたザッカリー氏にまた来てほしい。でも最近は新日本フィルだけじゃなく都響にも引っ張りだこなので難しいだろうな。残念。
コンマスは堀氏。

筆者にとってシューベルトの交響曲は寝てしまう曲だったのでいつもより予習大目にして対策を練った。第1楽章の主題の変遷を追ってみたり,第4楽章はアッテルベリが交響曲第6番に多くアイデアをパクっているという仮説を立ててみたりして遊んでみた。しかし最近体内時計が上手く働いていないようで眠くなりまあまあ寝てしまった。反省。

7月29日ぶりのACO,東京のオケをあらかた見たうえでも,この団のまとまりと現在進行形で成長している感じがとてよいなと思った。何よりソロと客演が豪華だし,スポンサーが熱心だし。
10月29日の予定をどうするか迷っている。幸田町にACOの第九を見に行くか,ハンガリー国立歌劇場の魔笛に行くか。魔笛は前日に三重に見に行くという手があるのでそれが悩みの種。

2022/09/17追記 ACOはしらかわホールだと7月22日のダブルコンチェル十ト以来だが,接客が過剰になった気がする。指導が入ったのだろうか。そんなにしなくてもと個人的には思うけどたまたまかな。

以上。