2022/09/19 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
13:00開場 14:00開演
▊ 坂田直樹(名フィル コンポーザー・イン・レジデンス):揺らめく色のうた-管弦楽のための[世界初演]
▊ ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
▊ リャードフ:音画『ババ・ヤガー』 作品56
休憩20分
▊ ムソルグスキー[ラヴェル編]:組曲『展覧会の絵』

1,2階席:¥3,500 3,4階席:¥2,500
☆5歳以上25歳以下は全席一律¥1,000!
※5歳以上のお子様からご入場いただけます。
※「新型コロナウイルス感染症対策とお客様へのお願い」をご確認の上、ご購入ください。
聴きどころ
第2回のテーマは、「絵」。川瀬賢太郎の指揮とお話で、絵画をテーマにした最も有名な作品である『展覧会の絵』を全曲演奏いたします。コンポーザー・イン・レジデンス=坂田直樹に、絵画をテーマにしたオーケストラ作品を新たに委嘱。ベラスケスの絵にインスパイアされたとも言われているラヴェル作品と、リャードフ作曲の“音による絵画”も取り上げます。

感想

揺らめく色のうた‐管弦楽のための

私は坂田直樹氏の新作目当てで行ってきた。勿論ほかの曲も聞きたかったけど。モネの絵画からインスピレーションを得たという曲。さらさら,きらきら,ブクブクというような擬音語・擬態語があるというが果たして。

構成。なんとなく覚えている所。
①弦楽器の同一弦の高低をいったりきたりするグリッサンドで静かに始まる。サスペンデッドシンバルの弓弾きがちょこちょこ控えめに入る。
②次第にClなどにもその動きが広がっていく。
③数分経ったであろう頃に初めて(?)はっきりした音名が言えそうな音がHrにより3音,アルペジオ気味に強奏される。
④次第に打楽器などが入り全体でクレッシェンド。曲全体の中頃に最強奏部分があり,シンバルのロールもクレッシェンドで参加。その時ヴィブラフォンが決まった音列を何回か繰り返す。
⑤その後一旦静まり返ってから(?),FlとClの保続音がありつつほかの楽器がゆらゆら揺れて,ダイナミクスはほぼ穏やかなまま終了。
シェイカー,カシシ(初めて聞いた)によるマラカスっぽい効果音も所々あった。⑤の全休止の場所は間違って覚えているかも。
2022/09/24追記,①に重ねて金管楽器の音を出さずに息だけ「フシュー」と出すやつがあった。これは友人曰く「シュワシュワ」だそうだ。

①の弦楽器は音の揺れ幅は大きいが音が小さいので会場で聞いていた時は前奏や導入のようなものかと思い特に気にしていなかったが(曲を受け入れる準備中でそこまで頭が回らなかったのもあるが),今振り返ってみればあれは「さらさら」だった。パート毎に決まった動きではなく個々人で動いてる様子で尚且つppだったので,あれをなんと形容すればよいかというとさらさらだ。今わかった。多分。
②のClは幅の大きい遅めの音高によるビブラートという感じでsin波風に「ウネウネ」していた。
③は何のためにあるのかよくわからなかった。
④はヴィブラフォンがかなり強打で特徴的。オケの迫力を出すのと,「キラキラ」かな?
⑤は「ゆらゆら」でいいだろう。
「ブクブク」はどこかよくわからなかったが,シェイカー類やブームワッカー(これも初耳の楽器)がブクブク担当だったのかも。
ミュートTrpも(ワウワウも?)どこかにあったよね?

打楽器の小物などの音響は繊細な表情担当か。同氏の「拍動する流れ」も去年聞いているので,氏らしい音響づくりなのかなと思った。

⑤はまさにぼやけた感じで印象派ぽかった。それは揺らぎが強奏後にあることにより強まったと思う。ある種混乱のようなものを演出する強奏後には安定や安らぎが欲しくなるものだ。今回はそれが無い代わりに揺らぎがあった。聴いている時は「あのヴィブラフォン等の強打に対する返答は???」と考え,よくわからないなと思った。今振り返りでは揺らぎ成分を強める効果があるなと思い納得している。コンセプトを知らずに聞けば今も後半が消化不足で物足りないと思うだろうけど。


アフタートークで坂田氏登場。「私の曲は一回聞いただけでは難しいものが多いが,今回は……」なんだっけ。肝心なところを忘れた。印象に残るようにとか,こどもも楽しめるように,とか仰っていた気がする。作曲家自身が一回聞いただけでは難しいと言ってしまうのがちょっと驚きだった。因みに今日は録音業者が入っていたようなのでこの曲はどこかで録音でも聞ける機会があるかも。

以下蛇足
曲を聴く姿勢に私の勘違いがあったかも。坂田氏本人執筆のプログラムノートの前半に,モネの絵に「穏やかで優しい表情」と「劇的で荒々しい表情」の二つの側面を見つけることができるとあったので,てっきり曲にもそのような二面性を含ませたのかと思って聞いていたがそうではないっぽい。
解説後半に,『この曲は「水面や大気の揺らぎを思い起こす音」を絵具にオケの表現力を生かして「せせらぎのような音の流れが大河のような規模に広がっていくような,ダイナミックな展開を作」った』とあるのでこっちをちゃんと読んでおけばよかった。

もし私が二面性を出しつつ印象派の絵画を曲にするなら,近くで見た時の印象,筆跡などを擬態語化して,「ザラザラ」「デコボコ」「ガーッ」というのと,遠くで見た印象「ふわふわ」「もやもや」「もわ~ん」という2群の対照的な素材を使って曲を作る。でもこれじゃ絵の印象自体であって絵を表したものにならないな🤔 ただ絵を表すより作曲家の主観度合いは減って,聴衆には多少理解されやすいものになるかもしれない知らんけど😎

パヴァーヌ(1899/1910)

ホルン流石の上手さ。全体も静かに丁寧に進む音楽作りだと思った。

リャードフ(1904)

ロシア音楽って感じ。

展覧会の絵(1874/1922)

川瀬氏らしい硬くない音。
冒頭のTrpソロは太くよく飛んでくる音で良かった。周りの和音の音程もばっちりというと噓になる……。
ビドロはTrb1がユーフォ持ち替えで担当。ちょっとTu期待していた。けどユーフォだと表現に余裕がありそうな感じでこれはこれで良かった。音色も演奏も。ブレス時間はがっつり取るスタイル。次はどこかでTuバージョン聞きたい。
ババ・ヤガーなどの歯切れ良い部分もばっちり。キーウの大門もどちらかというと丁寧なテンポ操作の印象を受けた。それから,ナニコレ珍百景の長い焦らしになれるのはよくないなと思った。実際の曲の頂点感が薄れる。


雑記

今日はサックス吹きでクラシック初心者の友人にも来てもらった。自分が半ば強引に連れてきたかもしれなけど取り合えず満足してくれたみたいで一安心。展覧会の絵にサックスが乗っていることは完全に忘れていたのだが,偶然乗っている曲だったラッキー。

友人の感想
・ホルンとっても上手
・リャードフのババ・ヤガーの方がムソグルスキーより自分のイメージに合っていた
・サックスの音いいね オケ毎回入れてあげればよいのに
・解説からの演奏だときくポイントがわかる
・展覧会の絵みたいな組曲はいろいろな曲調があって聞いてて楽しい 交響曲はどうしても眠くなる
・懐かしのホール(昔吹奏楽部のコンテストで使用した)
・そこまで音圧の物足りなさを感じなかった。ホールのせい?吹奏楽から離れて長いせい?

この友人にはぜひ名フィル12月9,10日の定期演奏会に来てもらいたい。なんといったってサックス競争曲2本立てなのだから。チケット代は奢るとしてどのように誘うべきか。とりあえずここは社会心理学に頼り,連続的依頼法の文献を探して……。


川瀬氏の話は落ち着いていて聞きやすい。プレゼン能力高い。自分ならオタク特有の早口になっちゃうな。絶対。「電車が止まると申し訳ないので今日はここまで」ということでアンコールは無し。

今日のコンサートはこども名曲コンサートなのでこどもも多いだろうなと思っていたら想像のはるか上をゆく多さだった。客はほぼ親子連れかと思うくらい。こんなにこどもで賑わっているなんてなんと素晴らしいことだ!開演前や休憩中に舞台の目の前に立ち,舞台上を覗く家族が大勢いるなんて驚き。素晴らしい。木管とCb奏者は開演前に舞台上で練習しているが,それを見た友人は「あれはサービス?」と言っていた。たし蟹そうかも笑 
こどもがグズッて途中退出する親子も少しいた。そりゃ飽きちゃうよねぇ。でも静かに聞いている子もいてすごいなぁともおもったりもした。

先月末に国立西洋美術館に行って国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまでと常設展を見てきた。そこで印象派の絵画をいくつか見てきたがいまいちピンとこない。私はピカソやカンディンスキーのほうが今のところ好き。上記の企画展は人が多く,印象派の人気っぷりや知名度の高さを目の当たりにした。

今日は台風。名鉄も19時までに運航停止ということで友人とはコンサートが終わったら早々に解散。残念だがしょうがない。夜栄でボレロをやる予定だったセントラル愛知や映像付きコンサートの中部フィルは中止・延期した。

以上