愛知室内オーケストラ コンチェルタンテシリーズ第2回
~複数の独奏楽器による協奏曲~
2022年2月27日(日)愛知芸術劇場コンサートホール 14:00開場 15:00開演
日本ファゴット(バスーン)協会後援

●K-H. ケーパー(1927-2011):ファゴットカルテットのための協奏曲「Fukturen」日本初演
●J. カステレード(1926-2014):トランペット、トロンボーン、弦楽オーケストラ、ピアノと打楽器のための協奏曲
〇休憩
●L.v. ベートーヴェン(1770-1827):ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調 作品 56


Karl-Heinz Köper : Konzert für Fagott-Quintet (drei Fagotte und Kontrafagott) und Orchester "Fakturen" (1968)

ゲオルギ・シャシコフ(Fg1)、三好彩(Fg2)、野村和代(Fg3)、田作幸介(C.fg)

 冒頭はマーラー2番からインスピレーションを得たのではと思った。TrpとTrb1が静かに、タラッタターってやってるところ。(m. 266)

 1番最初の響きは今時珍しくないが、音色はかなり妖艶で面白かった。最初のほうの、3度くらいの上昇のギミック(グリッサンドだった?)が面白かった。

 銅鑼は音が固く浮いてる。ティンパニも、弱奏は輪郭がくっきりして支えになっており良いが、強打時はオケを突き抜けてバランスに欠いている。第9の時もそう思った。ホールの響きに対して音が強く鋭すぎて痛い。おそらく固い音が好みなのだろうが、合っていないと思う。

 最後のTrbのグリッサンドがポジションが2→1でグリッサンドじゃなかった。あれでよいのか?ラヴェル左手やニールセンFl協奏曲的なものをプログラムノートから期待したが違った。
曲想はラヴェルの延長。よりラヴェルをpop方面に現代化した感じ。左手協奏曲を予習していたのもあって、すんなり受け入れられたし面白かった。けど他の客の反応はいまいちだったように見えた。

 3楽章?トランペットのミュート付きコラール良いね。音が柔らかく、これも冒頭のソロの和音と同じで妖艶な感じ。音色が鮮やか。ただオケの音色の多彩さは面白いが曲自体は普通か。

 ファゴットは音量が小さいのでそれを補うため人数を増やして協奏曲にするというアイデアが面白い。しかしオケもそこそこ鳴ってるし、人数増やせば音量が2倍になるわけでもないのでイメージしていたより音量が無く協奏楽器としてはやはり扱いにくそうだと感じた。

 とろこで上に挙げたこの曲のYoutubeにある唯一の音源、おそらく疑似ステレオ化がされているが、低域は右に寄り、中広域(350~1.5kHz)は左寄りだが位相が最悪。どうしてこうなった?モノラルのほうがマシじゃないだろうか。

 この曲と2曲目はマイクあり。ベートーヴェンはソリストにマイクが無かった。結構な本数が立っていた。ミックスやってみたいな。二次利用しないのでステム買わせてもらえないだろうか。上の動画よりはましにできる(当たり前)。まあ兎に角、ティンパニや銅鑼でリミッターに引っかかってひどいポンピングじゃなきゃなんでもいいです贅沢言わないです…。(名フィルや中部フィル(に限らず日本中だが…)の日頃Youtubeにうpされる動画の音の質とミキシングはマジで酷すぎる。演奏に対する冒涜。)


Jacques Castérède : Concertino pour Trompette, Trombone, Orchestre à Cordes, Piano et Percussion (1958)

長谷川智之(Trp)、桒田晃(Trb)、宇根美沙恵(Pf)
 
 カステレード。知らない曲だと思ってたけど冒頭のフレーズはどこかで聞いたことがあった。多分あまたのTrb動画の中で見ていたんだと思うけど。現代の奏者には結構吹かれてるような気がするが。要チェック。ピアノの活躍が少なめだった。スライド操作鮮やかだった。ソリストたちが各々上手いのは当たり前だが、それぞれ遠慮しあっている感じで、もう少しまとまりと勢いが欲しかった。アンサンブルとしてはいまいちノリが決まらなかった感。桒田氏は急遽新コロ濃厚接触者該当のN響古賀光氏からの代役。

 後日カステレードのトロンボーン曲を聞いてみると、TrbソナタもTrp&Trbソナタも同じメロディーだった。やはり。

Beethoven : Konzert für Klavier, Violine, Violoncello und Orchester C-dur Op.56 (1804)

 オケは良かった。冒頭ベートーヴェンらしく強弱を明白につけて集中力のある演奏。よく練られた印象を受け期待が高まったが、チェロソロがいまいちだった。とにかく音程が自分には駄目だった。3楽章には同じフレーズをオクターブ違いでVnと掛け合うところがあるが、音程悪くて興ざめだ。ハイポジの速めのパッセージも団子になっていて弾けていないように見えたが、私の調子が悪かったのだろうか。

 Vnソロの弓飛ばし方も一様で、音楽に合わせるのでは無く奏者の癖でやっている感じで好きでない。スタッカートの中にも波をつけてほしい。ピアノも特に感動はなく、合わせるのに忙しそう。テンポ感は崩れがちに聞こえた。他の客は満足そうに見えた。

 ところで、3楽章のコーダへの経過句?はブラームスの二重協奏曲にそっくりだ。ブラームスがベートーヴェンの三重協奏曲を研究したのは間違いない。ブラームスはモーツァルトなども参考にしたらしいので他にもいろいろ探してみたい。4月に特別編成のオケがやるみたいなのでそれまでには…。行くかまだ決めてないけれど。


その他

Twitterまとめた。公式ツイートのみにしたが、感想ツイートもまとめたほうが良いだろうか。手間がかかるのでメンドクサイ。