クリスマスシーズンの定番として世界中で親しまれている『メサイア』。救世主キリストの降誕、受難、復活に至るまでの生涯が描かれたヘンデルの最高傑作。「ハレルヤ・コーラス」は誰もが一度は耳にしたことがあるはず。世界的なバッハ演奏家・鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンによる独唱と合唱、管弦楽が一体となった響きが、宗教を越えた普遍的な感動を巻き起こす。

概要

12月25日(日) 開場15:15 開演16:00 終演18:55
豊田市コンサートホール(豊田参合館8階)
クリスマスに響くハレルヤ・コーラス

■ヘンデル/オラトリオ『メサイア』 HWV56
アンコール:鈴木優人 編曲/The First Noel (まきびとひつじを) (世界の民謡・童話)

指揮/鈴木雅明
ソプラノ/ハナ・ブラシコヴァ Hana Blažíková
アルト/アレクサンダー・チャンス  Alexander Chance
テノール/鈴木准 すずきじゅん
バス/大西宇宙 おおにしたかおき
合唱・管弦楽/バッハ・コレギウム・ジャパン

入場料
全席指定/S席:8,000円
     A席:6,000円(25歳以下3,000円)
     B席:4,000円(25歳以下2,000円)

主催 公益財団法人豊田市文化振興財団 豊田市

日記

演奏

オケ
 自然なノリを感じさせる楽しそうな指揮と演奏。オケの音程や一体感のあるザッツなど基本的な技術が完璧で、それらの不自由を全く感じることなく音楽づくりをしていたことに感動した。日本にこんなに上手なオーケストラがいたなんて。フレーズの山場がわかりやすい指揮。最近筆者贔屓の中部フィル&秋山も一体感あるグルーブ感のある演奏だが、個々人の余裕が違う。

 Trpもすごい技術。よく見る孔付きではなく、完全なナチュラルトランペット。ティンパニはコンパクトな見た目と違いかなりの量の響き。合唱はバスが特によかった。一番上手側2列目のバスの人が終演後奏者達から拍手を送られていたが、何か特別な客演の人だったのかな?合唱が参加する箇所では下からの厚い支えが良かった。合唱のアルトにも男性一人。いざという時には彼がソロを歌うのかしら。

 先日違うオケで聞いたときは面白くなくて殆ど寝てしまったが、今回は一睡もしなかった。する暇が無かった。特に明るい曲想の第1部は人生肯定的な感じがして胸が高鳴った。第1部はFor unto us a Child is born.の後に調弦。第1部Trp初登場の時はオルガンのある2階からだった。他は舞台上手。チェロの調弦はA線を合わせて残りは5度、ではなくて主席の人に次席の人が一弦ずつ合わせていた。なんで?ハレルヤや最後の合唱などはソリストも合唱に参加。


ソリスト
ソプラノ:透明な音でアリアがとても綺麗。音の跳躍の際に少しだけあるポルタメントが理想的なお手本のよう。ハレルヤ後の第3部冒頭のアリアは特に素晴らしかった。ただ、技巧的なコロラトゥーラでは苦しそうな声になり、響きと声量が失われた。喉が開いてしまっているような気がした。

アルト:第1部のレチタティーヴォでは音程が広がり気味で緩かった。だが聞いていくうちに彼の音程感は相当低めで、自分の持つ音程感とちがうものと気が付いた。そう勝手に納得してからは受け入れて浸ることができた。カウンターテナー独特の声と控えめなビブラートと、上記の低めの音程も相まって協会音楽にぴったり。ソプラノと同様中世やルネサンスの音楽専用の歌声だと感じた。

テノール:音程は良いが響きも少なく声も飛んでこずいまいちだった。今回のメサイアはテノールによる序文(マヨラ・カナームス)の読み上げから始まったが、そこも声が遠く、寝そうになった。

バス:レチタティーヴォも歌も常に豊かな響き。今回の演奏会のソリストの中では一番安定していて、技術的完成度も高かった。細かい装飾も不安を感じさせることなく難なく歌っていた。彼の本業はバリトンらしい。

メモ
  • 字幕なし。パンフレットが捲れる音対策にもつけて欲しい。字幕が無いせいで退屈かといえば全くそんなこと無かった。どこを切り取っても充実した素晴らしい演奏。
  • ティンパニの撥は木製か。にしてはバチバチ音は少なくすごい響き。
  • ハレルヤでの起立は禁止だが、立っちゃう人一名🐜
  • アンコールはウクライナへの祈りでもやるのかと思ったら、クリスマスキャロルだった。結構今風な自由な編曲で面白かった。
  • 長い曲を飽きさせないエンターテイナーとしてはモーツァルトのほうが上だと思う。時代が違うので比べるのは不利だが。
  • 今回はバルコニー席にしてみた。メールを検索すると前回ここに来たのは2016年5月10日のベルリンフィル・ブラスアンサンブル。その時は一階26列(後ろから5列目)。遠いし、なんか音が飛んでこない。響きも聞こえにくい。岡崎シビックセンターみたいな音だなと思った記憶があったので2階にしてみた。結果は正解で、直接音も遠すぎず近すぎず、響きも聞こえ良かった。筆者が今回座った位置は柵にも視界が遮られなかった。ひとつずれると柵で舞台が見えなくなるので当たりの場所を見つけた。でもバルコニー席の位置探求はまだ続けるつもり。
  • ONTOMO 大井駿の「楽語にまつわるエトセトラ」その46 レチタティーヴォ:語源はイタリア語で「朗読する」。定義や特徴は?


 ハレルヤの所だけ響きが違う気がする。より柔らくなり、荘厳な響きは失われる代わりに温かみがある。楽譜をにらんでなぜなのか考えてみたけど、多分ヴァイオリンが声のユニゾンではなく合いの手に回ることからだと思う。オーボエは相変わらずほぼ全部ソプラノとユニゾンで、合唱の開離・密集配置等にも特別な違いは見られなかった。

雑記

●筆者も裸ガットを試したことがあるが、手汗が多い体質のせいかE線は2日、A線は1週間、D線は2週間で切れた。調弦も下がりまくるし、裸ガットは扱いこなせなかった。現在はガットに巻き線のオイドクサを愛用中。

●ブログのYoutubeの貼り付けを軽量化したい。試行錯誤中



業務連絡
●机サイズのオルガンは、ハモンドオルガンではなくチェストオルガンまたはボックスオルガンと言うそうです🙇🏻‍♂️ (wikipedia
●12月4日に行った、ヘンデル教会&名古屋フィルのメサイアの協賛は、椙山女学園ではなく、金城学院大学でした🙇🏻‍♂️

1月の予定

2月 名古屋能楽堂|新春謡初め 無料(要整理券) 13:00
7金 芸文|ウィーンフォルクスオーパー ニューイヤーコンサート 13:30
9月 芸文|ウクライナ国立歌劇場 カルメン 15:00 
12木 しらかわ|ACO定期 シベリウス 太田弦
13金 しらかわ|セントラル愛知定期 194回定期演奏会をちょっと予習
14土 三重文化会館|新春 茂山狂言会
19木 しらかわ|ACO定期 バルトーク弦チェレ、オーボエ新作、ドヴォ7
20金 芸文|名フィル定期 ニールセン4 ロベルト 金曜が良ければ土曜も行きます
28土 芸文|樫本大進&エリック ブラームス2,3 シューマン1,3

以上