〈コバケンの「ヨーロッパ音楽の旅」〉
小林研一郎(指揮/名フィル桂冠指揮者)
周防亮介(ヴァイオリン)
朝岡聡(司会)
▊ J.シュトラウスⅡ世:ワルツ『春の声』 作品410
▊ チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35
休憩
▊ スメタナ:連作交響詩『わが祖国』より「ヴルタヴァ(モルダウ)」
▊ ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
▊ ヴォルフ=フェラーリ:歌劇『マドンナの宝石』より第2幕への間奏曲
▊ ラヴェル:ボレロ
愛知芸術劇場コンサートホール 18:45開演



--------------
 周防氏のチャイコン目当てに行ってきた。以前ヴィエニャフスキ・コンクールの動画で見かけて名前は存じており、なんとなく気になっていた。
 司会の声がダブって聞こえる。以前聞いた同会場のコンサートではこんなに聞きにくいということは無かったので何か音響がおかしい。

・春の声
 隣のおぢさん氏がよく動く人で、膝をさすったり姿勢を頻繁に変えたりしていて五月蠅い。全く演奏に集中できなかった。2曲目以降は姿勢が定まったのか少し落ち着いたので集中できた。

・チャイコン
 冒頭から練習番号[D]のpoco piu lentoまで音程がとてもピッタリだなと思った。微妙に弾きづらい箇所が多いのに正確で尊敬する。それだけにここ以降ほんの少しだけ乱れたのが不思議だった。
 提示部[D]と再現部[M]の[Poco] piu mossoの速度変化がとても良かった。今までこの速度記号を意識したことが無かったが、1楽章の緊張感を保つのに重要な役目を果たしていた。[E]のpiu mossoはこの[D]の速度upありきなんだなとも考えた。
 使用ポジションが、3ポジ以降が多かった。自分なら1ポジまで下がる所を3ポジで処理していた。3ポジの方が音がこもって聞こえるので(開放弦の使用頻度も減ると思うので)音色の好みで選んだのかもしれない。単に指の運動性能で選んだだけかもしれない。
 曲自体についてだが、どうしても3楽章が似た繰り返しが多くて冗長に感じる。いい感じに聞こえるようになる何か良い方法が無いか探し中…。
 アンコールは、リッチ編曲のアルハンブラの思い出。

・ヴルタヴァ ハンガリー舞曲
 司会の案内が面白かった。ヴルタヴァの最後の場面はこうじゃないかと自分の考えを言っていたのがよかった。この曲の実演を聞くのは多分11年ぶりくらい。結構ハーモニーが分厚くて壮大だなと思った。ハンガリー舞曲は、ハンガリーでもここまではやらないけどこってりした演奏、というコバケン氏の説明があった。

・ボレロ
 休憩中にTrbが舞台上で練習していて、よく通る良い音だなと思ったのに、本番は音が詰まっててこもった感じだった。それから今回のフレージングは途中に一山あって、それから最後にクレッシェンドしていく風に統一されていたが、最後のC音で何か尻すぼみした様子だった。6ポジじゃなくてF管を使った理由も気になる。
 2ndスネアドラムが張り切って登場する様子が面白かった。
 内声の音量が控えめだった気がする。
 昨年5月に聞いたときコーダでTrbがグリッサンドに行ってしまい主旋律の音圧が減ったように感じたが今回はPercが大音量だったのか特に気にならなかった。

 アンコール前にコバケン氏から、今はコロナでブラボーが無くて寂しい。日本人は感情表現が少ないが、たまにはブラボーの代わりに立って拍手してくれると団員も喜ぶ、といった旨の話があった。アンコールは「天にも昇る気分になる」ボレロのコーダ。先述の要請もあり半数以上の観客がスタンディングオベーション。客の入りも良かったように見えたし、コバケン氏の人気ぶりを体感した。

以上