セントラル愛知にとって最後のしらかわホールであり、力のこもった熱気ある演奏だった。ただ今回に限らず最近のセントラルの傾向通り、力が入りすぎて(オーケストラの)音は潰れ音程は悪く響きは汚い。言葉を無理矢理ひねり出して褒めるとしたら「ドイツ的」とでも言えるだろうか。ソリストもかなりスパルタンな弾き方であるため演奏会全体が荒々しく緩い部分がないのも良くなかった。しらかわホールで響きを磨く、とは彼らの言葉であるが、この力強さがこのホールに必要だったのだろうか最後まで納得することはできなかった。

 知り合いは力の入った演奏がぐっときたと言っていたので一定の支持があるのはわかる。しかしこれは、よく曲を知っていたり予習をしてきた人だからそのような感想を抱くのであろう。年に数回コンサートに行く程度や初めての人は、もっと単純に綺麗な響きの方が感動すると思う。昨年末のベルリンフィルの感想をTwitterで眺めると、改めて響きの重要性がわかる。セントラル愛知は正直、現状愛知の4オケの中で一番新規客に勧めにくいオーケストラになってしまっている。メキメキと実力を伸ばした中部フィルがオススメ第一位で、回ごとで出来の差は大きいが一応名実トップの名フィルが2位。今後芸術文化センターに会場が変更になるが、どのようになっていくのであろうか…。

 ステンハンマルの曲は、弦楽器の高音に頼りすぎて緊張感の抑揚が薄くなり良くなかった。マイナー曲を取り上げる姿勢は評価。