2023/04/15土曜日 
愛知芸術文化センターコンサートホール
15:00開場 16:00開演

 今日の都響の指揮は私は受け入れられない。高級食材(都響)にソースをドヴァっとかけて、ほれおいしいやろ?と。マラ7がよくわからん勢にはソース味で意外とおいしいやんかもしれんけども。演奏自体は、ソースが濃すぎてゴミ箱に捨てられてる縁日の焼きそばみたいだった。シェフの失敗。都響なのにフレーズ感が崩壊し下手くそに聞こえる。

 まず曲目解説からおかしい。これから聞く人達に対して「謎めいている」を強調してどうする。あ、よくわからない謎の曲なんだ、と理解を遠ざける変な先入観を与えてしまうではないか。曲目解説では教授のお気持ち表明ではなく、来場者に対する配慮を第一に考えるべき。内容は悪くないが書き方が良くなかった。「謎めいているとされているが、自然(テナーホルン)と第5交響曲を足掛かりに・・・」のようならまだよかった。(※)

 演奏は終始とにかく元気。終楽章はそれでもいいけど、第1から第4も常にやかましい。いわゆる対位法的な各旋律が我こそはと雑に主張しあい、ガヤの芸人をマイクで拾いすぎたみたいになってる。それぞれの旋律から音楽的なフレーズ感を感じない。リリースの音は短くせっかちで落ち着く暇はない。第4楽章はなんであんなにハーモニー担当をうるさくしたの?全体的に縦の線は暴れっぱなしで揃わず、響きもたいして良くない。TrpのHigh-Cなどは、流石の個人技量の高さだがそこだけ。愛知芸文は響きすぎるというのもあるだろうが、それを考慮しても変だなぁという感想。

 指揮で面白かったのは第5楽章の一回目のロンド主題が終わったところのA♭major(51~52小節目)のフェルマータがやたら長かったところ。最後の鐘が超大音量で他をかき消していたこと。他に細かい点でこれといった独自な点はよくわからなかった。勿論なにかあっただろうけど…。

 テノールホルンはユーフォではなくちゃんとテノールホルンでTubaのさらに上手側に配置。奏者はツイッター情報によると多分ユーフォニアム奏者の露木薫氏。前回東京シティフィルで違う奏者で聞いたとき盛大に外していたのでハラハラしたが、今回は無事演奏していた。

 ティンパニの音が変。木の撥でユルユルの皮を叩いたみたいな、ボヨ~ンとした音だった。雨のせいかな。チューバは一番最後のフォルテピアノ張り切りすぎだよん。ちょっとダサい。

 なかなか規模の大きい一般参賀があった。マラ7ファンとしては多くの人が喜んでくれるのは嬉しい。しかし今日の演奏は舐められたもんですな、というのが正直な所ある。

 (※)これはわたくし個人の考えに基づく超個人的な意見だけれども、終楽章のモチーフは第1から第4楽章にそれぞれ伏線があるわけなので、終楽章で突然云々というよく見る解説は全く理解できない。むしろあの終楽章は必然なのだ。それに、同じモチーフでも様々な面があり、それを余すことなく引き出す、とはマーラーが言ったことではなかったかな?「物語がない」がマラ7が体に馴染まない言い訳として使われすぎだと思う。でもフレーズを分析しないと理解できないという曲は職人向けすぎて一般聴衆から遠いのも仕方ないのかな。そういう点では今日の大野氏のわかりやす~い元気溌剌な演奏は会場の盛り上がりから見て成功だったといえよう。私は嫌いだけど。