感想

 基本的には盛り上がればいいじゃない精神だったので、盛り上がっててよかったと思いました。マーシー先生のプレトーク(今回は音楽主幹の姿)で「セントラル愛知としてはオケ創設以来3本の指にはいるくらいの大編成」と言っていました。名フィルではこの位の編成を年に数回はやってる気がするので、なんだか正直不憫に感じなくもないですが、その分とにかく盛り上がってよかったのではないでしょうか。大きい編成であれば良いということは全くないですが、後期ロマン派以降に編成が拡大したことによる弊害が身近にあったことを気付かされました。

 マーシー教授の話は他に、ローマの松の録音は日本の鳥(種類は忘れた)を使っていることと、曲目開設に楽器の説明を入れた等話されていました。マー氏の話を生で初めて聞いたのですが上手ですね。指揮者や作曲者のプレトークはよく聞きますが、それと比べてしまいます。

 演奏は全体的にあっさりしていました。静かな所はそそくさと過ぎ、強い音の所もタメは無かったです。私はテンポやフレージングの創意工夫を見るのが好きなので物足りなかったです。あとローマの噴水のチューバはもっと欲しかったかも。

 トライグルを金と銀のとで使い分けていたらしいですね。金のほうは普通リン青銅で出来ていて残響時間が比較的長いのが特徴です。ちなみにこれは自慢のMyトライアングルです。思いっきりかき鳴らすとストレス解消になるのですが、同居人から苦情が来てしまい最近ならせていません。そのうち近所からも苦情が来そうなので控えています。ハンス・ロットの交響曲に参加して鳴らしまくるのが夢。

 休憩後のボッシの2曲ですが、1曲目はテンポの揺らぎが多すぎて初耳だったこともありフレーズが全く把握できなかったです。ですが音量が静かだったので丁度よい休息になりました。2曲目は明るく1曲目よりは親しみやすかったですが、やはりなぜかわかりにくい。テンポが私には遅すぎでした。吉田文さんは以前リサイタルにも行っていますが、確かに一音一音が重くつながりが分かりにくい(フレーズのグルーピングが把握しにくい)傾向があるかも。あくまで個人的に合うか合わないかですが。しかしよく知っている曲だと勉強になるかもしれません。あと、オルガンも2曲目は大音量で、ローマ3部作も大音量で正直耳が疲れました。祭りの最後のほうは耳が悲鳴をあげてて帰りたくなってしまいました。塞ぐのは我慢しました。

小ネタ アルフレート・カゼッラ

 ローマの噴水と松は4手ピアノ版(1台のピアノで2人並び)に作曲者自身の手によって編曲されています。噴水はレスピーギ自身と、アルフレート・カゼッラ(1883-1947)による録音があるので紹介します。
 このカゼッラという作曲家は演奏機会が少なく知名度の低い人物ですが、音楽史上ではよく登場します。有名な話として当時のナショナリズム漂う社会状況の下、イタリア古楽の巨匠ヴィヴァルディを復興したというものがあります。また、管弦楽曲のピアノ用編曲を行い、その中にはマーラーの7番があります。この編曲版マラ7は、アルノルト・シェーンベルク(1874-1951)主催の第一回私的演奏会(1918/12/29)で演奏されています。
参考
沼野雄司『現代音楽史—闘争しつづける芸術のゆくえ』中央公論新社、2021年。

以上


概要

超!有名曲シリーズVol.3「イタリア」
日時
2023年4月21日(金)17:45開場 18:45開演 [18:25~ マーシー山本教授プレトークあり]
会場
愛知県芸術劇場コンサートホール
出演
指揮/松尾葉子(特別客演指揮者) オルガン/吉田文 管弦楽/セントラル愛知交響楽団
プログラム
レスピーギ:ローマ3部作〈噴水、松、祭り〉
[オルガンソロ曲]マルコ・エンリコ・ボッシ:「聖別の時」「喜びの時」

ご協力のお願い
■発熱や体調不良の場合はご来場をお控えください。
■会話の際はマスクの着用にご協力ください。
■出演者への贈り物・面会はご遠慮ください。
入場料
S席5,000円〔Sペア券7,000円〕 A席4,000円〔Aペア券5,600円〕 B席3,000円 C席2,000円 U25席1,000円 ※U25席は座席指定不可、公演日に25歳以下対象、要身分証明書、当団事務局のみの取扱い。 /未就学児入場不可
主催・問合せ等
主催・問合せ:セントラル愛知交響楽団:052-581-3851
後援:愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会